
⚫︎ 霊鷲山 感応院 極楽律寺
(りゅうじゅさん かんのういん ごくらくりつじ)
- 所在地 鎌倉市極楽寺3-6-7
- 宗派 真言律宗
- 本尊 釈迦如来
- 創建 正元元年(1259年)
- 開山 忍性(開基:北条重時)
- 札所 鎌倉三十三観音 第22番
鎌倉二十四地蔵 第20・21番
鎌倉十三仏霊場 第12番
東国花の寺百ヶ寺 鎌倉1番ほか

極楽寺は、鎌倉で唯一の真言律宗のお寺です。もとは深沢にあった念仏堂で、鎌倉幕府2代執権・北条義時の三男「北条重時」が、この地に移したといわれています。途中でこの世を去った重時に代わり長時・業時兄弟が伽藍の整備を進め、文永4年(1267年)に「忍性(にんしょう)」を開山として迎えました。

忍性は真言律宗を興した叡尊(えいそん)の高弟で、慈善救済事業に尽力したことで知られます。
かつての極楽寺は七堂伽藍と四十九の子院を有する巨大寺院であったとされ、記録や伝承をもとに最盛期の様子を描いた境内絵図が伝えられています▼

現在は、寺域も縮小し、往時の伽藍は残っていませんが、本尊の清涼寺式釈迦如来をはじめとする貴重な仏像を数多く所蔵しています。
⭐︎ 収蔵庫は、春と秋の一定期間・曜日のみ公開
極楽寺駅は、レトロな駅舎と丸いポストが良い感じ。

改札が片側にしかないので、駅を出たら左手に進み、線路にかかる赤い橋(桜橋)を渡ります。

この橋の上から、長谷へと続く江ノ電唯一のトンネル【極楽洞】が見えます▼

坑門は煉瓦造り。竣工(明治40年)当時の原型を留めていて、歴史を感じます。私は完全に押し遅れちゃってますが、本当はトンネルから出る瞬間がシャッターチャンスです☺︎
橋を渡ってすぐ右手にあるのが、極楽寺で管理されている導地地蔵で、もう一箇所の月影地蔵はここから徒歩5〜6分のところにあります▼

導地地蔵を背に少し進んだ右手が極楽寺です▼

茅葺き屋根の山門は文久3年(1863年)の再建。普段は脇にあるくぐり戸から右側通行で出入りします。

wikiなどに境内撮影禁止と記載されていますが、現在は自撮り棒や三脚・一脚を使用しなければ撮影OKになっています。

参道を進んで行くと、まず右手に大師堂が出てきます▼(右奥の建物はお手洗い)

ここには、弘法大師と鎌倉三十三観音第22番の如意輪観世音菩薩が祀られています。弘法大師は相模(相州)二十一ヶ所第14番のようですが、他の霊場が改宗していたりで存続しているのか謎です。
その先、右手に出てくる建物が収蔵庫の転法輪殿(てんぽうりんでん)です▼

普段は非公開で、4/7・8(曜日問わず)および4/25~5/25・10/25~11/25の火・木・土・日曜のみ拝観可(雨天休館・拝観有料)→安置されている仏像はすべて国指定の重要文化財です。

⚫︎清涼寺式釈迦如来立像(秘仏本尊)
文永5年(1258年)の作。お厨子の中に安置されていて、4/7・8にのみご開帳されます。中国の宋からもたらされた京都・清涼寺の釈迦如来を模してつくられた像で、髪型と衣が特徴的です。
⚫︎不動明王坐像
平安時代末期の作。島根の勝達寺から大正5年(1916年)に移されたもので、後背の炎に迦楼羅(鳥)の姿があります。
⚫︎釈迦如来坐像
文永5年(1268年)の作。悟りを開いた後にはじめて説法をした時の姿を表しているとされ、転法輪印を結んでいます。この印を結ぶお釈迦さまはかなり希少なのだそう。
⚫︎十大弟子立像
厨子の両サイドには、お釈迦さまの弟子たちの中で主要な10人が5体ずつ並んでいます。
- 目犍連(もっけんれん)
- 優婆離(うばり)
- 阿那律(あなりつ)
- 舎利弗(しゃりほつ)
- 須菩提(しゅぼだい)
- 迦旃延(かせんねん)
- 富楼那(ふるな)
- 阿難陀(あなんだ)
- 羅睺羅(らごら)
- 大迦葉(だいかしょう)
極楽寺境内絵図(パネル)も展示されています。
かつてこの辺りは、亡骸が放置されたり行き場のない人々が集まる地獄のような場所だったそうです。そんな地獄に開かれた極楽寺。最盛期には、療病院や施薬院、福田院(貧しい人に施しを与える)や悲田院(身寄りのない老人や孤児を収容する)など、社会的弱者を救済する施設が置かれていました。
突き当たり正面の建物が本堂です▼

普段は非公開(小窓はあり)で、4/7・8に公開されます。公開時は中にあがらせてもらえます。

⚫︎文殊菩薩、不動明王、薬師如来坐像
中央の須弥壇に並ぶ3体の仏像は、いずれも廃止された塔頭(子院)から移されたもの。
⚫︎忍性菩薩、興正菩薩(叡尊)坐像
どちらの像も払子(ほっす)と呼ばれる筆のようなものを手にしています。元は虫や埃を払うための道具でしたが、後に煩悩や災いを払うと考えられるようになり、説法や儀式に用いる法具に変化したそうです。
本堂と転法輪殿の間には、千服茶臼と製薬鉢が残されています▼

貧者や病人の救済のため、お茶をひいたり薬草を調合するのに使用されていました。
客殿前の極楽寺の井▼

粥を施すのに使用されていたという井戸。山門を掘り起こした際に発見されたそうです。
転法輪殿前の八重一重咲分け桜▼

材木座の桐ヶ谷が原産の一重と八重の花が混生する珍しい桜。足利尊氏が京都御所に左近の桜として植え、あまりの美しさに後水尾天皇が御車を返して眺めたという逸話から【御車返し】とも呼ばれています。
御朱印やお守りは、本堂に向かって左手の受付でいただけます▼

本堂の裏手の道から少し歩いた高台に奥の院(忍性塔)がありますが、普段は門が閉ざされていて入れません。こちらも4/7・8にのみ公開されます。
鎌倉十三仏詣実行委員が主催する「梅かまくら特別参拝」(毎年2〜3月に実施)に参加した際は、本堂と転法輪殿を拝観することができました。
仏生会は、お釈迦さまの誕生日(4/8)をお祝いする行事で、極楽寺では4/7・8にご本尊と奥の院が一般公開されます。

期間中は山門をくぐることができます。この時期の参道は桜のトンネルになっていてとても綺麗でした。
特設テントでお焼香(1,000円)を購入してお参りします。これがないと諸堂に入れません。


8日に訪問したので、本堂の前に花御堂がセットされていました▼

水盤の甘茶を柄杓ですくって誕生仏に注ぎます。お釈迦さまの誕生を祝い、九頭の龍が甘露の雨を降らせたという伝説に由来した習わしです。甘茶接待も行われていました。
本堂→転法輪殿で清涼寺式のお釈迦さま(ご本尊)を参拝して奥の院へ。

裏門を出て左手に進み、稲村ヶ崎小学校のグランドを通って奥の階段を上った先にあります。

忍性塔は高さが357㎝もある立派な五輪塔で、国の重要文化財に指定されています。忍性のお骨は本人の遺言に従って三分され、奈良の額案寺と同竹林寺にも埋葬されているそうです。
極楽寺では、御朱印帳を持参しないと御朱印をいただけません。もし忘れてしまった場合は、御朱印帳とセットで授与してもらうのが良いと思います☺︎

ご本尊の挿絵入り▼

ぼさつの寺めぐりの霊場はすでに解散されているそうですが、快く対応してくださいました。(※志納料500円)